目次
ラストトレッキング
この旅のフィナーレはエベレスト街道だと最初から決めていた。
もちろんエベレストをこの目で見るためだ。
エベレスト街道は『世界の屋根』といわれる8000m級の山々が顔をそろえるヒマラヤ山脈の間に位置し、ネパール北東部のサガルマータ国立公園内にある。トレッキングで行ける最高到達点は5550mのカラパタール。ここまでは申請さえすれば誰でも行くことができるのだ。
世界的に有名なこのトレッキングコースは特別な技術が必要なく危険箇所も少なく、ルートも分かりやすい。
ネパールのトレッキングは山小屋泊で食事も食べれるので荷物は軽く済むのもポイントだ。テントと食料を持って歩くことになると20kgくらいになるが、最低限の荷物であれば水を含めても10kgくらいで済む。
気をつけなくてはいけないのは、ほぼ毎日4000m以上を歩くことので寒さ対策と高山病対策が必須ということ。高山病をなめてはいけない。今回のトレッキングが成功するかどうかの鍵は間違いなく「高山病」だろう。
ここもアンナプルナと同様、ガイド・ポーターなしで挑む。二人だけのパーティーだ。
ガイドの当たり外れの話も聞いていたし、二人でずっと一緒に歩いてきたので、最後も二人で歩きたいという気持ちが強かった。
思い返せばこの世界一周でいろんなところを歩いてきた。タスマニア・ニュージーランド・パタゴニアでトレッキングをし、ワイナポトシ(6088m)やキリマンジャロ(5985m)の高地登山もしてきた。お互い軽い高山病の経験もした。
全てはこのエベレスト街道のトレッキングに向けての準備だったようにさえ感じる。
二人でいつかこのトレックを歩きたいと夢描いてきた。
そしてこの時がついにきたのだ!!
計画
アンナプルナのトレッキングを終えポカラからカトマンズに戻り、休養と準備のために数日過ごした。この間に地図とロンプラ、地球の歩き方を一緒に読み込んで日程を考えた。
サガルマータ国立公園の中にはエベレスト街道のほかにもう1つ有名なルートがある。ゴーキョ・リ(5360m)を目指すコースだ。
今回の旅は時間だけはある。次ネパールに来るのはいつになるか分からないので、できればカラパタールとゴーキョのダブル制覇したいと考えていた。カラパタールを往復するだけで10〜12日はかかる。両方を歩こうとすると少なくても15日は必要。さらにルクラまでは有視界飛行のため、天候不良による欠航もありえるので予備日も考慮しなくてはいけない。
いろいろ考え、期間は20日間に設定した。まず第一にエベレスト街道の最高地点、目的地となるカラパタール(5550m)には必ず行くことを決めた。高山病の気配があれば少し戻って出直す。とにかくどんなにゆっくりでもいいから登ってくる!もし予定通り歩くことができればゴーキョ・リ(5360m)にも行き、レンジョパス(5360m)を超えて戻ってくるルートだ。
こんなに長く山の中に入るのは初めてのことだ。計画を立てただけでもドキドキが収まらなかった。
計画したルートのイメージはこんな感じ
エベレスト街道&ゴーキョトレッキング 1日目[2010/10/08]
カトマンズの国内線の設備はひどいもんだ。ローカル臭がプンプンする。とりあえず荷物を預かってもらえたけど時間通りに出発する気配はない。何時に飛ぶとかいう表示もない。小さな電子掲示板はリアルタイムの変更は反映されない。飛び立つ直前まで職員も出てこない。遅れていることは間違いなく、ひたすら待たされる。
ここでの失敗は、食料を全て預けてしまったことだ。食べるものがない。売店の値段は街中の3倍くらいはしていた。腹は減ったけどここで買ったらなんか負けな気がする。とにかく待つしかなかった。窓から外を眺めるとそんなに天気も良くないみたいで、今後の便が飛ぶのかどうかもよく分からない。
そして4時間待った。ようやく呼ばれた。乗れる。出発できるんだ!後々話を聞くと、ひどい時には朝から夕方まで待たされて今日はオールキャンセルだ!って言われて帰されることもあるらしい。2,3日その状態が続けば空港内はカオス状態となり、みな殺気立ってすごい雰囲気になるそうだ。もちろん対応するスタッフはなく表には出てこない。しかも飛ぶようになっても順番どおりではなく、空港関係者とのつながりが強いエージェントから乗り込むことができるのだ。
日本のように呼ばれるまで待つ人は最後まで待たされることになるので注意。声を出したモン勝ち。その日のうちに飛ぶだけラッキーだったということだ。
14人乗りプロペラ機。今年すでに1機落ちているという笑えない事実。おもちゃのように飛ぶ感覚だった。2列なので、どちらに座っても窓側に座れる。山を見るなら行きは左側。
離陸してすぐの町並み。多分バクタブル。
曇っていて山は良く見えなかった。
しばらくしていきなり左に旋回。ルクラに近づいているようだが窓の外は真っ白・・・、これ大丈夫なの??着けるの?って不安になってくる。操縦席からは前方の滑走路が何とか見えているみたいだけど・・・
ルクラの空港は斜面に作られていて傾斜利用して離発着するため滑走路が短い。機体が止るまではあっという間だった。
空港から出て滑走路の先を眺めると、今通ってきたところだけポッカリ雲がない。この後天候は回復せず、乗ってきた便が今日の最終便となった。ギリギリの到着だった。そして明日から3日間天候不良で飛ばなかったそうだ。
いよいよエベレスト街道のトレッキングが始まる!
遅れに遅れて辿り着いたルクラから歩き始めたのは15:30。TIMSにチェックをしてもらい、少しでも進もうってことで歩き出した。最初は下りなので楽チン。200mくらい下る。標高もそんなに高くないのでまだ全然平気だ。ちょっとムシムシした感じで暑いくらいだ。
飾り付けられた門
巨大なマニ石
ルート上にはたくさんのマニ石やマニ車があり、信仰の深さが伺える。つり橋もいくつか渡る。かなり頑丈なワイヤーだから全然問題なし。
エベレスト街道ではゾッキョが大事な足となっている。ワイヤーつり橋ももちろん渡る
初日の宿はパクディンの入り口。夕暮れギリギリに着いた。まだ距離感覚がつかめていないから、次の集落までどれくらい離れているか分からなくて、宿迷いしてるちに暗くなってしまったのだ。アンナプルナと違い山賊の危険はないので心配はないんだけど、できれば明るいうちにその日の行動を終わらせたい。
宿は貸切だった。子供がお手伝いをしていてご飯を運んできてくれた。ちょっと照れててかわいいかったな。
エベレスト街道&ゴーキョトレッキング 2日目[2010/10/09]
緩やかな登りがしばらく続く。団体客、ゾッキョ、ポーターで道は人だらけ。たまに渋滞もおきるくらいだ。さすがシーズンに入っただけの事はある。
チェックポイントに到着
モンジョからサガルマータ国立公園に入るので、ここで事前に取得しておいたパーミットのチェックがある。これまでの登山者数が書かれていたが、10月の人数がハンパない!
風船で遊ぶ子供
お手伝い中
エベレスト街道はココに住む人たちの生活道であり、子供達の姿も良く見る。
ナムチェ・バザールに到着
ナムチェ・バザールの標高は3440m。今日1日で800mくらい登る。トレッキング2日目にして早くも3000mを越えた。日本で言うと富士山で言うと9合目あたりまで行くことになる。こんな高所なのに、ホテル・宿が立ち並び、お店に銀行、パン屋さんにインターネットSHOPまで揃っていてエベレスト街道で一番活気があり賑わっている。
ここは、カラパタールを目的とするエベレスト街道とゴーキョ・リを目的とするゴーキョトレックに分岐点であり、ほとんどのグループが高度順応のため連泊するので、重要な拠点となっている。忘れ物があったとしてもここで買い足すことが可能だ。
エベレスト街道&ゴーキョトレッキング 3日目[2010/10/10]
トレッキング3日目。本日は1回目の高度順応日。1日ホテルにいてもいいのだけど、せっかくなので日帰りトレッキングに出発。場所はクムジュンへ向かう。
高山病にビビってるボクらはダイアモックス(ではないが現地で買った同成分の薬)を半錠づつナムチェから飲むことにした。利尿作用があるので、服用を始めるとかなりトイレが近くなる。昼間はいいんだけど、寝てるときにトイレで目を覚まちゃうのが悩みどころ。
クムジュンは地球の歩き方にも載っているホテル・エベレスト・ビュー(3880m)の先にあり、シェルパの村としても有名、背後にはクンビーラという信仰山がそびえている。休みだったけどヒラリー創設の学校もある。
・・・
というところではあるが、
3日もいるのにまだ青空、晴天がない。この日も天候が悪い。朝のほんの一瞬だけ。あとはずーーーっと真っ白。濃霧??10mくらいしか見えないんですけど。。。まだ、白く輝く山々をまったく見てないので全然エベレスト街道に来た感じがしない。
しょうがないのでパン屋でお茶タイムして焼きたてのアップルパイを頬張る。素朴な味がなんともおいしい。値段は350円くらいだったから日本とそんなに変わらないかも。
霧の中、ウロウロしながら何とかクムジュンに到着
ゴンパ登場
糞は貴重な燃料。壁に貼り付けて完走させます。
クムジュンの村
畑?牧草地??
焼きたてのアップルパイ。身体もホクホクになりました。
エベレスト・ビュー・ホテルの近く。ここから一望!できるはずだった。
ナムチェに戻ってきたら、宿の前がなんだか賑わっていた。ダサイン祭が間近のため子供たちが踊りの練習をしていた。それはもう、ちょーーーカワイイ。めちゃ癒されました。
宿の前には子供たちが集まっていました。
仮面をつけてる子も。
か、カワイイ。
なかなか凛々しい顔
寄り目できるよ〜
太鼓に合わせて踊ります♪